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構造研究


                                                
                

 


 

 
 
第4回 構造セミナー報告                                        神戸支部 福永 毅

         「構造計算適合性判定等における指摘事項について」〜基礎構造編〜


 「確認審査と構造計算適合性判定の現状について」と題して始まった本セミナーも4回目となり、今回は建築物の基礎構造を中心に開催されました。

   日  時: 平成21年6月27日(土) 13時30分〜16時00分
  場  所:「神戸市教育会館」203号室
  参加人数: 29名

 前回のS造、RC造といった上部構造に続いて今回は基礎構造についての適合判定機関等による指摘事項の解説ということで興味のある方も多かったせいか定員を超える申し込みがありました。セミナーは以下の内容で進められました。

 (1) トピックス:1 今後の開催予定とその内容の概略紹介
          2 法適合確認の留意点について
 (2) 構造計算適合性判定における指摘事項についての意見
    交換〜基礎構造〜
 (3) 参加者からの質問事項


解説をされる四宮忠明氏
 
基礎構造の各テーマについて解説と意見交換が行われました
 
活発に発言があります
 
今回はロの字配置の座席で意見交換がしやすかったと好評でした
 
わかりやすい解説です
 
他の設計者の多様な考え方を知る貴重な機会です
セミナーも4回目で和やかな雰囲気


(1)トピックス

 1.では正木氏から今後の本セミナーの開催予定についての紹介があり、次回第5回は「設計・監理リスクに備える」と題して建築賠償保険についての勉強会を8月8日に、第6回は「耐震診断・改修の留意点」と題して9月26日に開催予定、また10月には構造設計者の社会的認知促進と地域貢献活動として一般向けのマンションセミナーも予定しているとのことでした。

 2.では、(社)新・建築士制度普及協会発行のパンフレットに基づいて四宮氏より解説がありました。この5月27日より始まった構造設計一級建築士および設備設計一級建築士による法適合確認業務についての留意事項、とりわけ確認した範囲を明確にして押印する必要性があること、また建築設備(令第129条の2の4の規定)や手すり等についても構造関係規定として法適合確認する必要があるので今まで以上に責任の範囲が広がる可能性が大きくなることなどが説明されました。


(2)メインテーマ 〜基礎構造〜

  本テーマの解説も四宮氏より最近の適合判定機関の指摘状況について直接基礎と杭基礎に分けて詳しく説明がありました。直接基礎に関しては傾斜荷重を考慮した設計を行うこと。たまに基礎梁があれば傾斜荷重を考慮しなくてもよいと主張する設計者がいるがそれは建築学会の基礎指針の解釈を誤っていることが原因であること。また耐圧版の外周部の固定度についても固定として考え端部モーメントを基礎梁のねじれとして処理するか、ピンとして考え耐圧版中央の上端筋を増やして処理するか状況によって適切に判断する必要があること。その他直接基礎に関しては2方向偏心基礎の地反力の算定法についてと基礎レベルにおける水平面剛性の重要性について耐震壁直下の基礎の事例をあげて解説がありました。 杭基礎についても基礎レベルにおける水平面剛性が低いと耐震壁通りの剪断力を他の通りまで基礎・スラブを介して伝達できないので結局耐震壁直下の杭だけで剪断力を負担することになり杭の設計が困難になること。そしてよく混同される事例として杭頭固定と基礎固定の話について適合判定機関でも両者同じと考えている判定員がいること。設計上杭頭は固定として安全側で設計することは問題ないが、基礎固定度は基礎梁の拘束度合いによりかならずしも100%固定とはならず杭に軸力の増減を考慮しないことになるので危険側になる場合もあること。また、終局時の杭の引抜き耐力の算定も法規上は短期の1.5倍で構わないが学会指針に基づいた残存引抜き耐力の使用を求める判定員もいること。さらに耐圧版の地反力について力の釣合いを無視したモデル化を前提に基礎が浮上るとの指摘をされた事例も報告されました。いずれにせよ現状では設計者が審査側に正論でもって強く反論することが少なく、そのこともまたエンジニアとしては問題であることが指摘され我々としても頭の痛いところでした。

(3)参加者からの質問など

 参加者からも多くの質問や設計事例が報告されました。例としては基礎構造の中でもとりわけ地盤改良の設計において、上部構造との整合性に問題がある場合が多く、その原因としては地盤改良杭等の設計を業者まかせにしてしまうことが報告されました。また法改正当初から問題になった杭の偏心についてのあらかじめの検討の妥当性と現状についても議論しました。


その他、本日の議題以外の内容として、

  ・ 床版のたわみ検討について、告示では床周辺の固定
   方法が四周固定と片持ちスラブしかなくその他のパタ
   ーンはどう扱うのか。

  ・ 県庁舎の震災時の床スラブの亀裂とその補修方法
   等、活発な議論、意見交換が行われました。





第3回 構造セミナー報告

 

神戸支部 田中嘉之

 
「構造計算適合性判定における指摘事項についての意見交換」 〜鉄筋コンクリート造編〜
     

 構造研究会による第3回構造セミナー「構造計算適合性判定における指摘事項についての意見交換」が開催されました。


 日  時 :平成21年3月14日(土) 13時30分〜16時30分
 場  所 :「神戸市教育会館」201号室
 参加人数 :27名
 

  主題の意見交換前に先立ち、正木氏から @「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」の改定ポイントについての説明、
AJASS5の改定内容についての説明が行われた。
  
 
  RC造について課題ごとに説明と意見交換が行われました。

 @の内容は、改正建築基準法を踏まえた改定、構造計算ルートと法的な位置づけ、標準設計法と詳細設計法の内容区分の明確化、 床倍率表記から水平構面耐力表記への変更、小規模建築物基礎設計指針(日本建築学会)が出版されたのに伴い基礎設計部分の詳しい解説追加、特殊平面形状やスキップフロアーへの対応解説、構造計算概要書の記載事例掲載等である。また本書の適用範囲についても説明をしていただいたが、誤植が多く計算例の数値に間違多いので近々出る第3版はそのあたりが修正されているものと思われるとの報告があった。
  Aの内容は、「JASS5鉄筋コンクリート工事2009年版」は旧版からの大幅な改定であり、主要な改定項目として用語の変更(意味の変更もあり)は注意が必要である。 特に地球環境問題(循環型社会)への配慮、目標性能の明確化、RC構造体の耐久性向上のための整備、特殊仕様コンクリートの充実、品質管理規定の充実等であり詳細は改訂版の通読が必要とのことであった。
     

 第3回の構造セミナーの主題に関しては前回に引き続き四宮氏が引き受けてくださり、議題の提案とそれに対する解説と、適判がどのような対応をしているかを聴講者との意見交換を行いながら進行した。議題内容は@柱梁接合部のパネル破壊の場合の取り扱いについて、A保有耐力時の耐震壁開口部補強の考え方、Bスリットの取り扱い、C方立壁の考え方、D連スパンの耐震壁を夫々別に評価できるか、E袖壁なし建物の計算ルート2−2は適用可能か、等で日ごろ構造設計者が実務上、身近に体験することであるが判断の仕方でそれらが計算上クリアできたり、また別の選択を行う必要があったり大いに悩む事柄であるので、活発な意見が出された。

 

事前にメンバーから出された質問についても様々な意見が出ました。

  @に関してはパネル破壊が生じた場合の保有耐力決定時をどう扱うかDsの決定や増築予定で設計された建物が現行基準で検討すると柱梁接合部破壊が生じ増築できないケースや、またパネル破壊が先行しても柱軸力保持能力が維持されている場合はどう取り扱うか等など、増築予定建物の遡及適用まで含めて討論を行った。
  Aに関しては、一次設計での開口補強筋の断面検討式はRC規準などで明記されているが、終局時の断面検討式はなく、終局耐力であるのに開口補強筋検討は許容応力度式で補強筋を算出して、壁厚に納まらない場合はそれに見合った柱型を開口際に設けたりしている報告例や過剰な開口補強筋は開口部周辺のコンクリートの周り具合にも二次的な問題が生じるなど指摘された。
  Bのスリットの取り扱いは、腰壁、たれ壁、袖壁方立壁は 適切にモデル化され入力しているか、腰壁 たれ壁などは柱際にスリットを切っても梁の剛性に適切にモデル化されているか、また電算では梁に取り付く壁の計算方法をモデル選択できるようになっているが、選択肢によって応力に大きな差が生じることも指摘された。これらは偏心率及び剛性率に影響があるので適切に考慮する必要がある。
  Cの方立壁は剛性評価をどうするか、変形と追随性、方立壁の剛性による面内フレームの応力の配分、それに見合った断面検討について曲げ補強筋、せん断補強の検討まで行う必要性などである。
  Dの連スパンについてはスパン毎に個別に行うのと一枚の壁でとり扱うのかで崩壊形式が変わって くる例を討論した。
  E袖壁なし建物の計算ルート2−2適用が可能かは、袖壁付柱の評価である1.35 N/mm2という値は袖壁が存在しない場合には使えないとの結論である。また2.5Awが存在しないルート1の適用も適切でないという考えもある。

  余談であるが今年改定予定であるRC規準と2009年度に出版予定されている建築物の構造関係技術基準解説書(黄本)ではかなりすり合わせが行われる予定であるとの報告がされた。その他としてRC造の付着の検討式が改訂予定のRC規準で見直しされる予定であること、伝統的木造の限界耐力計算についての話題や連層耐震壁の縦長開口の考えについても討論された。全体的な内容としては実務的な視野についての話題であるので聴講される方は非常に熱心に聴いておられました。
 

 

第2回 構造セミナー報告
                         明石支部 吉岡浩一
「確認審査と構造計算適合性判定の現状について
                       その2」〜鉄骨造〜

 第2回構造セミナーとして「確認審査と構造計算適合性判定の現状について その2」が開催されました。
  日  時:平成21年2月28日(土) 13時30分〜16時30分
  場  所:「神戸市教育会館」201号室
  参加人数:28名

 今回は、第1回目よりもさらに内容を具体的に絞ったものとして、構造計算適合性判定において特に留意すべき事項として鉄骨構造に関する問題点が取り上げられました。こういった内容から、今回の参加者は構造実務者が大半となりました。今回は以下の項目でした。
 (1) トピックス:「2008年版 冷間成形角形鋼管設計・施工   マニュアル」の刊行/ 建築士法の改正関連の動きにつ
    いて
 (2) 構造計算適合性判定における指摘事項について
   〜鉄骨造〜
 (3) 参加者からの質問事項
 
  (1)では正木氏からの報告で、「冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル」の改訂ポイントの説明がありました。
さらに、「建築設計サポートセンター」の開設について、全ての都道府県に地方サポートセンターが設置(事務局は建築士事務所協会)され、これは5月27日からの構造設計一級建築士/設備設計一級建築士の関与の義務付け等に関し、その円滑な施行を図るために設けられたものであり、構造設計一級建築士・設備設計一級建築士の資格者リストの閲覧、指定確認検査機関、指定構造計算適合性判定機関に対する苦情の受付等の業務を行う旨の紹介がありました。
 引き続き藤谷氏から、大学院修士課程2年の期間が従来の建築士法では建築士試験に対する実務経験として認められていたものが、今回の改正により、設計に関する授業としてインターンシップを経験すれば、1年または2年、認められるということで、現在、その具体的な方法に取組み中という報告がありました。

 (2)は四宮氏から説明がありました。これが、本日のメインテーマでした。
1.横補剛についての考え方
   FD部材としてDsを決定すること
   横座屈発生時を保有耐力とすること
   補剛材の強度と剛性、接合部の検討
2.地中梁ヒンジが生じた場合の考え方
   RC造のDsを考慮すること
3. 基礎梁が無い場合の支点のモデル化
   
杭・直接基礎の回転剛性の考慮
   基礎下は ピン or 固定
の内容であり、
1.の横補剛については、横補剛がNGの場合、ある意味では経済設計といえる。一方で、ICBA-No.26では、横座屈発生時を保有耐力とするとなっており、Mcr以後
曲げ座屈耐力の挙動が実験等で検証ができておらず不明であることから、今後の解明が望まれるということでした。さらに、横補剛の強度と剛性、接合部の検討が実例によって示されました。問題点としては、ピン仕口としている接合部に、この場合だけ曲げ負担させるのはどうか、また、Cチャンネル材を使用する場合は別として、一般には端部の接合部を除き相当の余裕があるのではないかということでした。
2.は地中梁自体にヒンジを生じさせる設計そのものが問題ではないか、また、杭偏心などにより鉄筋が変更になると、分離モデルで処理していても問題が生じるということでした。
3.は参加者が実際に設計するとき、支点のモデル化をどうしているかということを各人が意見を述べられ、結果的には柱脚バネのみ考慮し、基礎固定という考え方が圧倒的に多かったように思います。但し、偏心基礎で地中梁を設けない設計は長期的な被害がでないかということが問題になりました。

(3)は参加者から、以下の質問がありました。
   ・ 横座屈した後の部材を押し続けた場合、Lb/iyの値 
    によって耐力低下の違いがはっきりしている(塑性指
     針 H-200×100にて実験)
   ・ 横補剛材の取り付け位置レベルが図面に表現されな
    い場合が多い

その他、本日の議題以外の内容として、
   ・ 柱の算定において、回転バネを考慮した1階柱の座
    屈長をどうするのか、ほとんどのプログラムソフトは固
    定で行っている。
   ・ 高層建築物等で、上下階の柱サイズが異なる場合、
     柱梁仕口部のディテールをどうしているか。
等、多数の質問があり、意見交換が行われました。



 

 
四宮忠明氏
 
鉄骨造についてテーマごとに説明と意見交換が
行われました
 
ほぼ満席の会場です

 

 
 
日ごろ疑問に感じている事などについても活発な意見交換が行われました
 
 
 
 
 第1回 構造セミナー報告
構造研究会 藤谷秀雄

「確認申請厳格化2年目 確認審査と構造計算適合性判定の現状について」
 
   構造研究会による第1回構造セミナーが下記のとおり開催されました。参加者は30名で、中には意匠設計者や確認検査機関の方もおられました。

 日 時 :平成20年11月22日(土)
        13時30分-17時
 場 所 :「すまいるネット」セミナー室
 プログラム:基調講演 四宮忠明(構造研究会)
         公開ディスカッション
           四宮忠明、浅原保弘、守時靖之
           コーディネータ 藤谷秀雄

 四宮氏は、ご自身も専攻建築士で、適合性判定員のご経験から、適合性判定の現状について、詳細かつ要領よくまとめられました。その要点は、以下のようでした。

  1. 審査に要する日数は、19年度に比べて20年度になって、若干短くなってきている。
  2. 期間が長くなる主な理由は、構造設計方針の記述不足や、建築図、構造図、構造計算書の不整合などである。
  3. 構造計算書内の数値の不整合や、構造計算モデルと構造図の不整合があるが、このことから指定機関のチェックが十分行われていないことがうかがわれる。
  4. 施行令以外の数値を使うときの根拠が説明不足。
  5. 基礎地盤については、地盤の許容応力度に傾斜荷重(H13の改正)を考慮していない場合や、液状化の検討について記述がない場合もある。
  6. S造については、横座屈耐力Mcrに達した後も耐力を保持するものとして荷重増分解析を行っている。座屈後の耐力低下の評価方法について研究成果も必要。
  7. RC造については、根拠無く脆性部材を無視したり、耐力壁の開口部評価に一貫性が無い場合もある。
  8. まとめとして、構造設計者とピアチェックをする者が、同じ技術者として議論し切磋琢磨することで建物はよくなる。物造りである以上、工事施工の観点が必要。
  続いて、公開ディスカッションに移り、まず適合性判定員でもある浅原氏から、適合性判定の中で問題になった事例を挙げながら、次のような発言がありました。
 構造計算書は、これから設計する建物がどのようなものなのかを指し示すものだ。それは、強度的に安全であると一言で終わりにするのではなく、また単に数値的な流れを示すだけでもない、設計者の意図を文章でも説明することが必要である。そしてそれが第三者にも良くわかるものでなければならい。
 守時氏からは、適合性判定を受けた立場から、適判にかかる日数がまず問題になる。また適判の方が確認での指摘が少なく、ルート1の方が確認での指摘が多い、などの発言がありました。
 これらに対して、会場から、以下のような積極的な議論がありました。
(1) 構造設計者
 公共建築の場合、元請けのチェック、役所のチェック、確認のチェック、適判のチェックと合計4回のチェックがある。重複する指摘もあるので、確認と適判が連携して、合わせて指摘してもらいたい。
(2) 意匠設計者
 欠陥住宅は現場で造られると言われるように、検査が重要である。これは確認検査機関ではなく監理者の責任である。基準法の運用に問題がある。監理契約に必要なお金が支払われることが重要だ。
 これに対して確認検査機関の方から、今回の適判の主旨は、設計段階で防ごうとしているようだと説明された。
(3) 施工管理経験者
 役所の検査は全数ではないので、設計事務所の工事監理者が、担当者をいかに教育するかが重要になっている。若い施工者にとっても必要なこと。
(4) 設計事務所経営者
 法律に根本的な問題がある。設計者に責任を負わせて、検査からも適判からも責任を逃れている。設計者は医者と同様に仕事ができないといけない。そうできないのなら、保険制度が充実しないと、怖くて設計・監理ができない。
(5) 構造設計者
 国は消費者行政に傾いている。構造研究会も構造関係者と切磋琢磨して声を上げていく必要がある。女性委員会は、シックハウスなどでも国に働きかけてきたが、効果があった。

  以上のような活発な意見交換ができ、時間があればさらに深い議論が進んだと思われます。次回の以降の構造セミナーは、2月28日(土)と3月14日(土)に予定されています。今回、アンケートでいただいたご意見を反映していきたいと思います。

 

 
四宮忠明氏
 
実務に即した内容を判り易く解説 し
て頂きました
     
   
    公開ディスカッション
     
   
     
   
 
   
   
   
       
  
 
 



   
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